弟は離れることを、ゆるさない
葵は私だったらめちゃくちゃな抱き方してもいいと思っているんだろうか。
他の子が恐怖で怯えているように、私にだってしてほしくないことくらいある。
姉だからってなんでもして良いわけじゃないんだよ、葵……
「私、変な抱き方されたくない……」
「琴音にはしない」
ーーそれじゃ意味ないじゃん、葵、好きな人と重ねられないじゃん。
姉だから、家族だからダメと断っていたのに、葵が私を抱くことで葵のことを想っている人が苦しまなくて済むなら……と考えてしまう。
絶対にダメだと頭では分かっているのに、葵の顔を見たらどうにかしてあげたいと、気持ちが揺らぐ。
「好きな人を作ってもいい。カレシも作ってもいい。もう三年前のように邪魔はしない。だから、夜だけ俺の相手して」