弟は離れることを、ゆるさない


断らなきゃいけないのに必要以上に迫るお願いに、

「分かった……」

と頷いていた。

私なんかすぐに飽きて、そのうち自分の過ちに気づいてくれるはず。


ーー大丈夫、私が葵と家族じゃなくなることはないんだから。何があっても私たちは『家族』という絆で結ばれている。


私が「分かった」と頷いたからか、一度離れた私の顔に自分の顔を近づけた。


咄嗟に顔を反らすと、葵は私の頬にキスをした。


「…………今したい」

「葵、さっき夜だけ相手してって言ったでしょ。今、夜じゃないから」

「……分かった。じゃあ、今日の夜抱きたい」

「――うん。私、そろそろ家出なきゃいけないから」



まだ待ち合わせ時間には早すぎるけれど、このままここにいたら自分の気持ちがおかしくなりそうな気がして葵に嘘をつく。


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