弟は離れることを、ゆるさない


「皇にこんな綺麗でかわいいお姉さんがいるなんて知らなかったですよー」と、屈託ない顔で笑う悠生くん。


葵から離れたくて合コンに参加したはずなのに、葵の話題で助けられていた。


「葵は小さい頃からモテるけど、私はモテないの」

「ええっ!?嘘だ!俺、めちゃくちゃタイプです。良かったら連絡先交換してもらってもいいですか?」

「…………あ、うん」


悠生くんは私の隣に座りスマホを差し出してきた。


無事に連絡先を交換し終えると、「やったー」と、嬉しそうに唇を噛み締めていた。


「悠生くん、他の子とも話してきたら?私の友達皆いい人達だよ」

「いや、俺は琴音さんだけでいいです!あっ、琴音さんって呼んでいいですか?」

「呼び捨てで大丈夫だよ!」

「呼び捨てはハードル高いです!もう少し仲良くなってからにさせてください!」


素直でいい子な悠生くん。
合コンに来た理由は断れなかったと言っていた。


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