弟は離れることを、ゆるさない
「よーっし!こうなったら優樹菜が誘ってくれた合コン行くよー!男でも作れば弟に対する、腹立つことも気にならなくなるでしょ!」
「……でも私カレシは……」
「高校でのトキメキは恋だって。好きな人ができれば世界変わるんだから、ね、琴音!」
まるで聞く耳を持たない紗絵。
『琴音カワイイんだからすぐに好きな人できるって!』と、肩を揺らしながら慰められてしまった。
『カワイイ』だなんて、友達の間柄でさえも社交辞令を言わせてしまっている私はどうしようもない。
◆◆◆
家に帰り、リビングでお母さんに今週の日曜日、合コンのために出かけることを伝える。
「お母さん、今週の日曜日紗絵達と出かけてくるね。男の子もいるみたい」
お母さんとは昔から、親子だけれど友達のような感じで、なんでも話し合える。たから、今週の合コンのことも、特に隠すことなく伝えた。