弟は離れることを、ゆるさない

私に気を遣う悠生くん。


友達が「悠生早くこいよー」と呼んだことにより、優生くんは戸惑ってしまっている。


「悠生くん、大丈夫だよ。一人で帰れるから。今日はありがとう」


そうお礼を伝えると、悠生くんは切羽詰まったような顔で「連絡していいですか？」と聞いてきた。


「私からも連絡するね」

「はい！では、また」


合コンといえど、せっかく優生くんと楽しい時間を過ごしていたのに、葵からの連絡で一瞬にして現実に引き戻された。


葵には今日遅くなると伝えたはずなのに。


私の為にご飯を作ってくれているだなんてそんなこと今までなかったからか、葵と一緒にご飯を食べたいと思ってしまった。


家に帰ったらどうなるかくらい覚悟はしているのに……それでも私は葵を遠ざけることはできない。