弟は離れることを、ゆるさない
もっと話したいって思えよ。
もっと俺を意識しろ。
俺のことで頭がぐちゃぐちゃになるくらい、悩んで、苦しんで。
この三年間、俺も俺で努力した。
少しでも琴音のことが忘れられるように、派手な奴らと遊ぶことが増えた。髪色もシルバーに染め、耳にピアスも何個も開けた。けれど、琴音に対する想いは全然消えることはなかった。
女を抱いて琴音のことを忘れようともした。けれど、琴音じゃない女と体を重ねていることに吐き気がして、琴音を抱けないことにイライラして、逆効果だったと思う。
女を見たくなくて、女の声を聞きたくなくて、今こういう行為をしていることを受け止めてほしくなくて、俺は最低な抱き方をし続ける。
これからも、鬱憤を晴らすために琴音じゃないヤツを抱き続けていくんだろうと思っていたのに。
――浴槽で、琴音の裸を見て、
俺の理性はぶっ壊れた。