弟は離れることを、ゆるさない
「どこで育て方を間違えたのかしら……高校は行ってくれたから良かったけど。あの子、将来捕まったりしないわよね……」
「ど、どうだろう……」
高校の友達も不良っぽい子が多い。プライベートはもっとヤバそうな、治安が悪い人とつるんでいそうな葵。
お母さんやお父さんが仕事でいない時や、旅行で出ている時、女の子が泊まりに来たこともあった。
葵と隣の部屋な為に、夜の卑猥な音も聞こえてきた。
もう葵は私が知っている葵じゃないことくらい分かっていたのに、喋らなくなったあの日から葵のことを気にしてしまっている。
家族だから、弟だから、こんなにも気になって心配なんだ。
気がつくとまた葵のことばかり考えてしまっていた。
ブンブンと首を横に振り、誤魔化すようにお風呂場へと向かう。