弟は離れることを、ゆるさない
私の言葉が届いたのかどうかは分からないけれど、葵 は私の腕をそっと離した。
――ごめん、葵。
心の中で謝罪をしながらベッドから抜け出した。葵の部屋を出て、自分の部屋に引き籠もる。
せっかく葵と話せるようになったけれど、今度こそ私と話してくれなくなるかもしれない。
でも仕方ない。これで良いんだ。
葵が今まで通り他の子を抱いたとしても、女の子には申し訳ないけど仕方がないことなのかもしれない。
――私は葵と家族という縁を切りたくない。葵と姉弟の関係を壊したくない。
そう思うのに、唇に何度もキスをされた温もりが消えないでいた。