弟は離れることを、ゆるさない


◆◆◆


葵を拒絶して一ヵ月が経った。


この日以降、こうなるんじゃないかと思っていたことが起きるようになってしまった。最初は家に帰ってきていた葵だけれど、もう一週間家に戻ってきていない。


晩御飯を作ってくれているお母さんに葵のことを聞いてみる。


「お母さん、また葵帰ってきてないの?」

「そうなのよ。友達の家に泊ってるんでしょうけど、琴音、連絡してみてくれない?」

「でも……」

「私が連絡しても無視なのよ、あの子」


「お願いね」と、私にお願いするお母さん。


葵が帰ってこない原因がどうしてなのかが分かっているため、「私が連絡しても無駄だよ」と言い返す。


「連絡つかないんだったらしょうがないから、明日、葵のクラスに行ってせめて連絡するように言ってくれない?」





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