言葉足らず。
「真野さんがそうやってなんでも肯定するから。」

 すぐ調子に乗る、と、2人組の若い方、瀬戸先生が呆れた顔をする。
 そう、言われても。このひとの話は、いつも前置きも突拍子もないのだからしょうがない。

「優しいから、真野さん。」

 そしてこのひとは、おそらくだれにでもしれっとこういうことを言う。
 いつも通り私は相川先生の言葉を黙って聞き流して、エレベーターの隅っこを陣取る。間違っても、一瞬でも、決してドキッとなんてしていない。

「ちなみに、なんで相川先生に彼女ができないんだろうね、って話。」
< 2 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop