言葉足らず。
わざわざご丁寧に話の流れを説明してくださった瀬戸先生には悪いけれど、私には関係なくてめちゃくちゃどうでもいい話だった。
「…ソウデスカ。」
棒読みを自覚しつつ瀬戸先生にそう返して、私はエレベーターの隅からコントロールパネルの前に立つ相川先生をちらりと見やる。
180cmはある長身に、黒い短髪。大きめの黒縁眼鏡のせいで、少し冴えなくは見える。しかし、たぶんこういう仕事以外は適当なところをなおせば、すぐに彼女はできるんじゃないかとは思うが。
10歳も上のひとたちのオトナの恋愛事情は、そんなに簡単じゃないのかもしれない。
私の知ったことでは、ないけれど。
…もしこのひとに彼女ができたら、なんて想像して、ちくりと胸が痛んでしまったのは気のせい。
ぼーっとそんなことを考えていると、院内用のPHS、ではなく、白衣のポケットに忍ばせた私物のスマートフォンが振動する。なかなか途切れないそれは、メッセージやアプリの通知ではなく着信であることを知らせていた。
こっそりとスマホをポケットから取り出してディスプレイを確認すると、“非通知設定”の文字。
今日だけで、5回目。この1週間、毎日。仕事中だろうが深夜だろうが関係なく、2時間おきくらいに10コール程度鳴っては止む着信が続いている。
「…ソウデスカ。」
棒読みを自覚しつつ瀬戸先生にそう返して、私はエレベーターの隅からコントロールパネルの前に立つ相川先生をちらりと見やる。
180cmはある長身に、黒い短髪。大きめの黒縁眼鏡のせいで、少し冴えなくは見える。しかし、たぶんこういう仕事以外は適当なところをなおせば、すぐに彼女はできるんじゃないかとは思うが。
10歳も上のひとたちのオトナの恋愛事情は、そんなに簡単じゃないのかもしれない。
私の知ったことでは、ないけれど。
…もしこのひとに彼女ができたら、なんて想像して、ちくりと胸が痛んでしまったのは気のせい。
ぼーっとそんなことを考えていると、院内用のPHS、ではなく、白衣のポケットに忍ばせた私物のスマートフォンが振動する。なかなか途切れないそれは、メッセージやアプリの通知ではなく着信であることを知らせていた。
こっそりとスマホをポケットから取り出してディスプレイを確認すると、“非通知設定”の文字。
今日だけで、5回目。この1週間、毎日。仕事中だろうが深夜だろうが関係なく、2時間おきくらいに10コール程度鳴っては止む着信が続いている。