言葉足らず。
「今度真野も誘って飲み行こうよ、って。」
「…私はパス。」
「だよねえ、私も。」

 もともと飲み会が嫌いな成海と、べつに飲み会が嫌いなわけではないがあのひとがいるなら、と、断りたい私と。方針はふたりの中で、満場一致。
 目下、私の胃をキリキリと痛ませるのは、昼夜問わずかかってくる電話と、高幡旭という、10月から赴任してきた外科のドクターの存在だった。
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