気になる彼女のマスク下のヒミツ

1-1

ヌーヌーという振動音が背中から聞こえ、目を覚ます。

確か昨日は携帯で漫画を読んでて…そのまま寝落ちしたわ。思い出した。


(今日からまた学校か…何かの奇跡で1週間くらい春休み延びないかな。)


ゆっくりとした動作で背中の下から携帯を取り出せば表示された時刻は午前6時半。

私は携帯のアラームに驚いて起きるのは嫌な為、アラームじゃなくてバイブレーション派。これ私のプチ特技。
目覚めは良い方なのである。


「取り敢えず携帯は充電してっと。さて、顔を洗いに行きますか~。」


乱れたベッドを直してから洗面所に向かえば、あら不思議。頭が鳥の巣に大変身~てね。

肩まで伸びた全体的に天然パーマな私の髪は朝にその芸術性を発揮する。
右に、左に、と自由に跳ねまくっているのだ。

今日も絶好調ですね。私の髪さん。


(前髪もそろそろ伸びてきたなぁ。今日の夜にでも切るか。うん、そーしよっと。)


小さな決意を胸に、髪をバンダナで上げて、顔を洗って、歯を磨いて。
朝の最初の身支度を終えてから1階のリビングへと階段を降りれば美味しい朝食の匂いが広がっていた。

今日はどうやら和食メニューらしい。好き。


「おはよう、真知。良く眠れた?」
「おはよ~パパ。うん、寝落ちするくらいぐっすりだったよ。」
「新年度なのに緊張感ないわねぇ。」
「まっちゃん、醤油取って」
「はいはい。ケチャップね~。どうぞ~。」
「いや醤油だってば。適当か!!」


キッチンに立ってお味噌汁をかき混ぜるパパはどうやら締切がヤバいらしく目の下の隈が凄い。
…現実逃避をして料理をしてる日と見た今日は。

既に椅子に座ってモリモリと朝食を食べているママと弟は食べる専門。
ほら、人って得意不得意があるじゃん?
ママはある意味で料理の才能ありまくりだから、さ。

このブツブツ言いながらも素直にケチャップを受け取る可愛い弟は今日から中学1年生。
犬飼 真理《いぬかい まり》君です。


「いただきまーす。…卵焼きが沁みるなぁ。」


そんな温かくてほんわかした家族との食事から私の1日は始まるのである。
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