気になる彼女のマスク下のヒミツ
1-5
今日は入学式も兼ねているから2、3年生は新年度の話を聞いて終わりの日。
部活がある子は昼過ぎから部活が始まるらしく、剣道部の美々子ちゃんは部室に直行すると話していた。
(真理の入学式が終わるまで少し時間あるし…図書室に行こっかな。)
真理から聞いた入学式の流れを思い出しながらボーッと担任の話を聞いているといつの間にか大体の説明が終わっていた。
ほとんど右から左に流してた。ヤバい。
…と焦りながらもどうにかなるでしょ精神に切り替え、新しく配られたプリント類をファイルに入れた。
「久しぶりの登校だとやっぱりヤル気が出ないなぁ…取り敢えず、私はもう部室に行っちゃうね。真知は弟君を待つんでしょ?」
「うん。すぐに図書室に行くつもり。」
「新年度が始まっても避難場所は相変わらずだね。また部活が終わった頃に連絡するよ。じゃね。」
「バイバ~イ。」
颯爽と教室から出た美々子ちゃんを見送り、私も図書室へと足を向けた。
美々子ちゃんが言った通り、図書室は私にとって貴重な避難場所なのだ。
広くて静かで、その落ち着いた空間は匂いを気にせずに過ごすことが出来る数少ない素敵な場所。
何よりも本を読むことが大好きな私にとって、図書室は避難場所でもあり天国でもある。
だから…だから、さ。
「ねぇねぇ~誰もいないから良いじゃん~。ね?ちょっとだ~け。ねぇ、龍牙《りゅうが》~?」
「チッ、うるせぇな…今はねみぃからパス。」
「え~何それ~。」
本当に宇宙の果てまでぶん投げてやろうかアホどもが。
たまにいるのだ。
誰もいないから良いじゃん。
えー、仕方ないなー。
チュッ。
みたいなイチャコラが。
いるんよ。必ず。人ってさ。気付いて???
(匂いも甘いよぉ。ゲロ甘だよぉぉぉおお…うぇっぷ、これは酔う…。)
私がいるのはちょうど本棚で死角となる一番奥の陽当たりの良い椅子、ではなくその床。
隅という落ち着く空間が何よりもお気に入りの場所。
今日は特に利用者もいなかったから静かな空間の中で優雅に本を読んでいた私の至福時間を返せやコラ。
早くいなくなれ~と念を飛ばしているとガンッ!!と何かを蹴る大きな音が静かな空間に突然鳴り響いた。
「誰だか知らねぇが彼女気取りしてんじゃねぇぞ。放っておけば調子乗りやがって…邪魔だ。今すぐ消えろ。」
「ひ、酷いっ!そんな言い方しなくたって…っ!!」
「…あ?」
「ひっ」
バタバタバタッと遠ざかっていく足音。
無意識にスッと背筋を伸ばして壁に張り付きながら息を潜め、気配を最小限になくす努力をした。
(く、く、クズだ…稀に見るクズすぎた…。)
冷や汗が止まらんて。修羅場すぎるよ。
ドッドッドと不整脈のような心臓の音を落ち着けようと胸に手を当てた。
まさかバカップルのイチャコラがこんな北極圏のような極寒の寒さに変化するとは…今の若者って怖い。
「それにしても何であんなクズを好きになるんかね…全世界の女子に一度ならず億回謝った方が良いってあんな男。」
「へぇ、堂々と盗み聞きをするたぁ良い度胸じゃねぇか。…なぁ?」
「…、。」
あ、詰んだ。
部活がある子は昼過ぎから部活が始まるらしく、剣道部の美々子ちゃんは部室に直行すると話していた。
(真理の入学式が終わるまで少し時間あるし…図書室に行こっかな。)
真理から聞いた入学式の流れを思い出しながらボーッと担任の話を聞いているといつの間にか大体の説明が終わっていた。
ほとんど右から左に流してた。ヤバい。
…と焦りながらもどうにかなるでしょ精神に切り替え、新しく配られたプリント類をファイルに入れた。
「久しぶりの登校だとやっぱりヤル気が出ないなぁ…取り敢えず、私はもう部室に行っちゃうね。真知は弟君を待つんでしょ?」
「うん。すぐに図書室に行くつもり。」
「新年度が始まっても避難場所は相変わらずだね。また部活が終わった頃に連絡するよ。じゃね。」
「バイバ~イ。」
颯爽と教室から出た美々子ちゃんを見送り、私も図書室へと足を向けた。
美々子ちゃんが言った通り、図書室は私にとって貴重な避難場所なのだ。
広くて静かで、その落ち着いた空間は匂いを気にせずに過ごすことが出来る数少ない素敵な場所。
何よりも本を読むことが大好きな私にとって、図書室は避難場所でもあり天国でもある。
だから…だから、さ。
「ねぇねぇ~誰もいないから良いじゃん~。ね?ちょっとだ~け。ねぇ、龍牙《りゅうが》~?」
「チッ、うるせぇな…今はねみぃからパス。」
「え~何それ~。」
本当に宇宙の果てまでぶん投げてやろうかアホどもが。
たまにいるのだ。
誰もいないから良いじゃん。
えー、仕方ないなー。
チュッ。
みたいなイチャコラが。
いるんよ。必ず。人ってさ。気付いて???
(匂いも甘いよぉ。ゲロ甘だよぉぉぉおお…うぇっぷ、これは酔う…。)
私がいるのはちょうど本棚で死角となる一番奥の陽当たりの良い椅子、ではなくその床。
隅という落ち着く空間が何よりもお気に入りの場所。
今日は特に利用者もいなかったから静かな空間の中で優雅に本を読んでいた私の至福時間を返せやコラ。
早くいなくなれ~と念を飛ばしているとガンッ!!と何かを蹴る大きな音が静かな空間に突然鳴り響いた。
「誰だか知らねぇが彼女気取りしてんじゃねぇぞ。放っておけば調子乗りやがって…邪魔だ。今すぐ消えろ。」
「ひ、酷いっ!そんな言い方しなくたって…っ!!」
「…あ?」
「ひっ」
バタバタバタッと遠ざかっていく足音。
無意識にスッと背筋を伸ばして壁に張り付きながら息を潜め、気配を最小限になくす努力をした。
(く、く、クズだ…稀に見るクズすぎた…。)
冷や汗が止まらんて。修羅場すぎるよ。
ドッドッドと不整脈のような心臓の音を落ち着けようと胸に手を当てた。
まさかバカップルのイチャコラがこんな北極圏のような極寒の寒さに変化するとは…今の若者って怖い。
「それにしても何であんなクズを好きになるんかね…全世界の女子に一度ならず億回謝った方が良いってあんな男。」
「へぇ、堂々と盗み聞きをするたぁ良い度胸じゃねぇか。…なぁ?」
「…、。」
あ、詰んだ。