涙雨を極甘なチョコに溶かして
アンニュイ王子の好きな子は

☆なごみside☆


 あのとき私が告白なんてしなかったら

 今ごろ(たまき)くんは、無邪気に笑っていたんだろうな。



 無表情で雨空を見つめるアンニュイな雰囲気なんて

 身にまとわなかっただろうに……




  ━━ 3年前 ・中2 ━━



「なごみ、チョコ食べる?」

「環くん、それ何のチョコ?」

「最近発売した一口チョコ」

「すぐ売り切れちゃうって人気の? 食べてみたい」

「あーんして」

「あーん。ん? ぐがっ…が……たっ食べれない……」

「アハハ」

「環くん、ちゃんと私の口にチョコを入れて」

「アハハ、ごめんごめん」

「絶対に反省してない」

「そんなことないよ」

「私の唇にチョコを押し当てて、わざと私が食べれないようにしたでしょ」

「ひまわりの種にありつこうと必死のハムスターと、同じ顔するんだもん。アハハ、思い出しただけで笑える。もう一回、ハム顔見せて」

「ムッ、意地悪しないで。ちゃんと食べさせて」

「どーしよっかなぁ」

「環くん!」
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