涙雨を極甘なチョコに溶かして
「気が変わった」
「えっ?」
「やっぱり、なごみにあげるのやーめた」
「幼稚園の頃から、環くんは私にだけイジワルするよね」
「なごみはイジワルってとっちゃうんだ」
「違うの?」
「もういい、このチョコは俺がいただくね」
「どうぞどうぞ」
「ちょうだいっておねだりしないの?」
「私は家に帰って、お兄ちゃんに甘いチョコブラウニーを焼いてもらうから」
「このチョコ以上に甘いものなんて、この世に存在しないと思うけどな」
「その自信、どこから来るの?」
「俺が食べて確認してあげる」
「やっぱり環くんが食べたかっただけじゃん」
「うん、ものすっごく極甘。めっちゃくちゃおいしい」
「それは良かったね。私は帰ってお兄ちゃんのブラウニーを……」
「そっかそっか、なごみの唇は極甘なんだ」