涙雨を極甘なチョコに溶かして

 私達は美和ちゃんに連行されて

『二人でちゃんと話しな、過去のこと』

 ここ、写真部の部室に放り込まれちゃったんだけど……


『私は教室に戻る。珠須島環、なごみを泣かせたら承知しないから!』

 姉御肌の美和ちゃんが去っても、環くんはこの部屋から出ていこうともせず。

 まるで私が見えていないかのよう。

 一瞬でも私をチラ見することもなく、部屋の奥で眠りについてしまったんだ。


 環くんの今の気持ちが知りたいな。

 もしかしたら、そっけない態度は意志表示なのかも。


 俺には可愛い彼女がいる

 だから今後一切、俺に関わらないで。

 ……って。


 私を無視してるって言うことは、そういうことなんだと思うけど。


 じゃあなんで……

 さっき教室で、私の席まで来てくれたの?

 3年ぶりに「なごみ」って名前を呼んでくれたのは?

 私の好きなチョコを、机の上にバラまいてくれたのはなぜ?

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