涙雨を極甘なチョコに溶かして

 
 事故の全貌をさらす前に、彼の話をさせて欲しい。

 森山修也(しゅうや)くん。

 私と環くんの中学が一緒だった同級生で

 環くんの彼女・花音(かのん)ちゃんのお兄さんです。


 初めて顔を見たのは、中学の入学式。

 人見知りで、控えめ、人とコミュニケションを取るのが大の苦手だった彼。


 入学当初は誰ともしゃべらず、挨拶してもうつむきながらコクリ。

 自分の席で静かに読書をする、メガネ男子だったんだけど。


 環くんはひとりぼっちな彼を、放っておけなかったんだろうな。


 『おはよ、修也くん』


 コミュ障気味の修也くんにスルーされても全くめげないメンタル鋼の環くんは、グイグイグイ。


 『読んでるその本って面白い? どんな話か教えて』


 キラキラなエンジェルスマイルをふりまき続けた結果、修也くんが環くんを受け入れはじめ


 『他の人と話すのは怖いけど、環くんにだけいろいろしゃべりたくなっちゃうんだ。僕の話はつまんないと思うけど、聞いてくれる?』

 『アハハ、じゃあ俺の話も聞いて』


 いつの間にか環くんと修也くんは、二人セットと思われるくらい仲良しになったんだ。


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