涙雨を極甘なチョコに溶かして
☆なごみside☆
学園一のアンニュイ王子は、環くんなんだろうな。
野いちご学園高等部。
お昼休みの2年E組の教室内。
わたし雨宮なごみは、自分の席に座りながら親友を待っている。
胸まで伸びるストレート髪を、指に巻き付けては
「美和ちゃん、今日は遅いなぁ」
なんて、廊下のドア付近をチラ見したりして。
うらやましがられる私の席。
すぐ左は窓。
しかも一番後ろ。
みんなが狙っている特等席だって、ちゃんとわかっている。
でも……
雨を瞳に映したくない私にとっては、最悪の席。
窓から遠い廊下側がよかったのに……
くじ運もクラス運も、今年はないのかもしれないな。