涙雨を極甘なチョコに溶かして
その後
3年間のすれ違いの日々に終止符が打たれたのは、1週間前のことです。
私と環くんの日常が、目まぐるしく変わり始めた。
花音ちゃんに別れを告げた環くん。
『私は環くんと離れないから!』
『なごみさんがお兄ちゃんを階段から突き落としたこと、親にも周りの人にも言いふらしちゃうんだから』
『動画もネットにあげちゃうけど、それでいいの?』
と、長い髪を振り乱しながら、大泣きされたらしいけど……
『もう、脅しには屈しない』
環くんは凛とした態度で、花音ちゃんを突き放したらしい。
そして私は後悔している。
なぜ今まで、修也くんのことを大人に相談しなかったんだろうって。
親身になってくれる人が、こんなにも近くにいたのに。
野いちご学園の先生に悩み相談をした次の日には、学園長が修也くんのご家族に話をしに行ってくれたんだ。
結局のところ、私が修也くんを突き落としたのを見た人なんていなかった。
証拠動画なんてものも存在していなくて。
環くんを自分のものにしたい花音ちゃんの、1人工作だったらしい。