苦手だったあなたへ
私にはとても理解ができない(というよりそんな度胸がない)ので、新鮮というか驚きだ。


まぁ若くてイケメンな先生がいたら同学年の男子なんて目に入らないよね。


「龍ちゃんばいばーい!」


その3人組が去ってから、紺野先生はサッと手を振った後にため息をついた。


先生もああいう生徒には疲れてるんだろうしね。


教室に私が入ってから、紺野先生は引き返して職員室に向かった。


なんのために教室に来たんだ?


まぁどうでもいいか。


教室はお昼ご飯を食べ終わった生徒たちで溢れていて、結構騒がしい。


1人読書しかしたことの無い私にとって騒ぐなんて無縁な表現だ。


私のクラスにいるキラキラな女の子4人組は、恋バナで盛りあがっていた。


「えー、やっぱり龍ちゃんか音様だよね。」


「私は正統派イケメンがタイプだから音様かなぁ。」


音様、最近よく聞く名前だ。


白銀高校の保健室には、【保健室の神様】がいると言われている。


オカルト的なことではなく、ただ養護教諭の先生の比喩なんだけど……。


旗本音(はたもとおん)先生。通称音様。


正統派イケメンで芸能人並みのルックスから、龍ちゃんこと我が校の紺野先生に並ぶアイドルだ。


天然パーマのノーセットな髪型がドンピシャで似合う。
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