苦手だったあなたへ
別に驚いた顔をするわけでも無く、でも真剣な表情をしている割には心配そうだ。


私が1度話すのをやめると、母は「話足りないなら話しなさい」と、目で促してきた。


「だから今、紺野先生と付き合ってるの。こんなこと、常識に欠けてるとは思ってる。けど、好きになっちゃったの。」


「そうか。月葉はこれからどうしていきたいんだ?」


「学校はできればもう行きたくない。でも2人が行けって言うなら行くよ。紺野先生が辞職するのも、もう諦めがついてるから別に引き止めようとかも思ってない。ただ、2人には認めてほしいの。」


私が真面目な眼差しで見つめたからか、ちょっとだけ驚いた。


普段こんな顔すること滅多にないもんね。


「月葉、私もお父さんも、先生との関係を否めようとか思ってるわけじゃないの。ただ、それで先生が辞めれば月葉が辛い思いをするのはわかっているでしょう?だから、せめて卒業までは待つようにした方がいいと思う。」


「お父さんも同感だ。ただ、心配なんだよ。6個も上の教師と恋愛なんて、誰だって白い目で見るだろう?」


お父さん、いや、お母さんにだって、こんな話をしたことがなかった。


私の心臓が少し早くドクドクと響く。


「学校も、無理していく必要はないわ。編入したっていいんだから。」
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