苦手だったあなたへ
相変わらず、変な感性してるな。


そういう所もまた愛おしく感じられた。


「先生、卒業したら証書持って会いに行くね。」


「あぁ、待ってる。」


「お母さんとお父さんね、私の卒業式見たら飛行機でまたヨーロッパ行っちゃうの。今度はイタリアだったかな?」


「変わらず忙しいんだな。」


でも、娘が卒業するまでは日本にいてあげるのは親の愛情だよな。


「先生、しばらく会えないと思うから、最後にキスしてよ。」


「は?そういうのが卒業後ってさっき言わなかった?」


どうして月葉はこうも人の話を無視するんだ?


「最後に1回だけ。お願い!無理なら抱きしめても手を繋ぐでもいいから。」


「仕方ない。」


俺がそう言うと月葉は顔をパッと輝かせたけど、まさか本当にキスして貰えると思ったのか?


それでまた問題になったら困るから。


しかもこんな公園でするのは頭がおかしいカップルだけだ。


「はい、手繋いでやるよ。」


「えっ、酷い!ケチだよね本当に。」


「俺と手を繋ぐのは普通の人のキス1000回分だと思っとけ。」


それでも月葉はずっとブーブー言ってたけど。


本当に可愛い顔しやがって。


でも、俺の理性が保たれないから、今キスするとか絶対無理だ。


手を繋ぐのもアウトか?
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