苦手だったあなたへ
けど先生はケロッとした顔をして、口を開いた。


「別に疲れてるけど平気。それよりさ、家でも先生って嫌なんだけど。呼び方変えない?俺は月葉って呼んでるじゃん。」


勝手に、ですけどね。


その言葉を飲み込んでから先生の方を向いてしばらくフリーズした。


はっきりいって、先生を先生呼びしないのはキツくない?


「じゃあなんて呼べばいいんですか?紺野先生以外に呼び方ないでしょ。」


「龍ちゃんという素敵なあだ名があるだろ。敬語も禁止な。堅苦しいから。」


うぅ……。


敬語禁止で龍ちゃん呼びって私の拷問?


なんか私に不都合なことが多い条件だよね。


でも、今は私の大家さんみたいなものだし、従うしかないのかな?


「り、龍、ちゃん。」


恥ずかしい……あれだけ龍ちゃんというあだ名を心の中でバカにしてきたのに、恥ずかしい。


学校で呼んじゃってもカムフラージュされそうだけど、その前に私の羞恥心はすごそうだ。


「そうそう。その調子でよろしく。別に恥ずかしくないからね。ここ、もう月葉の家なんだし。」


そう言われれば私の家になったわけだけど、まだお泊まり会っていう感覚が抜けきらない。


だんだん慣れていけるものなのかな?


幸先不安な同居生活だけど、とにかくバレないように頑張ろう。
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