苦手だったあなたへ
言ってから、私も「そんなことあるかなぁ」とちょっと思ってしまったけど。


でも、それは醜い感情じゃなくて、行き過ぎた愛情なんだと思う。


もうよくわかんないからそういうことにしておこう。


「月葉さん、白銀大学に進学しますか?」


「えっ、そのつもりだけど。もしかして葵ちゃん国立とか行くの?」


「まさか、どんだけ頑張って特待生で白銀受かったんだって感じなので。もう2度と試験なんておぞましいこと経験したくないです。」


おぞましいって表現すごいな……。


てか、やっぱり特待生だよね。


創立以来の天才だって言われてるもんね。


「大学行ったら、月葉さんが良ければ仲良くしてもらいたいです。」


「もちろん!私全く友達とかいないからさ、むしろありがたいよ。」


「実は私もぼっちなんです。話しかけてもらえることはあるけど、特定の友達がいなくて。」


「中学の時の私そうだったよ。でもいいよね、1人の時間があるのって。」


葵ちゃんとは、すれ違って、誤解して、それを乗り越えて仲良くなれた。


これが思い描いていた私の理想的な友情なのかな。


「月葉さん、卒業文集に紺野先生のこと書いてたでしょ?」


「ば、バレちゃったよね……。」


「でもすごい素敵でした。私、もう14回読み返しましたもん。」
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