苦手だったあなたへ
そんなに……?


そこまで面白いこと書いてないし、何なら中二病の痛々しい文章に近かった気がするけど。


「私が3年生になってから、感情の幅が広がったのは、紛れもなく紺野先生のおかげだと思うの。本当に感謝してる。」


「題名『苦手だったあなたへ』になってますけど、苦手だったんですか?」


「いやまぁ、うん。最初はね。」


「確かに、第1印象は『チャラっ!』ってなりますもんね。」


こうやって友達と談笑して、楽しく笑いあえるのなんていつぶりなんだろう。


ひょっとしたら人生初?


「最後に月葉さん、本当に今まですみませんでした。」


「いや、もういいよ。葵ちゃんの気持ちはちゃんとわかってるし、そこまで謝られると私に罪悪感が芽生えてくるから。」


「後悔してもしきれないです。月葉さんみたいに素敵な人を、私が傷つけてしまったこと。」


葵ちゃんが本当に悔しそうな顔をしているのが私としては辛い。


そんなに深く考えなくてもいいのに。


「葵ちゃん、お詫びと言ってはなんだけど、大学でも変わらず仲良くしようね!」


「ぜひ、お願いします!」


そして、私は憧れだった『友達と卒業式に写真を撮る』を達成できた。


卒業証書をもって友達と写真撮ってる周りの女子たちと同じようなことができた。
< 126 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop