苦手だったあなたへ
色んな意味で感動する卒業式だった。


葵ちゃんに手を振ってから、両親と校門前で写真を撮った。


「月葉、本当に卒業おめでとう。一時はどうなるかと思ったけど、あなたやっぱり私の子ね。立ち直りの早いこと。」


「本当に良かった。こうして笑って卒業できることの喜びを存分に味わいなさい。」


お父さんとお母さんが私を温かく迎えてくれて、本当に嬉しかった。


キャリーケースを持ってるのは不自然だけど。


空港まで私もついていくことにした。


「あれ、どんくらいイギリスに行くんだっけ。」


「多分、1年近くなっちゃうかも。1人暮らし、できないんだったら紺野先生のところにお邪魔させてもらいなさい。」


「わかった。私もバイトしたりしてるけど、一応仕送りしてね。」


私の言葉に「はいはい。」と笑ったお母さんの顔を見て涙が出てきそうだった。


でも今泣いたらお母さんもお父さんも行きにくくなっちゃうよね。


グッと目に力を込めて、「いってらっしゃい、気を付けてね。」と声をかけた。


2人が乗った飛行機が無事に空港を発ったのを見て、私は次に紺野先生の元に向かった。


今、どこにいるんだろう。


ひとまず電話しよう。


たったの3コールで繋がった。


―――はい、もしもし。月葉?卒業した?
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