苦手だったあなたへ
他に入ってた子がいたんだ。


「あの、中川さんですよね。いいんですか?あんなに言わせてて。」


私の名前、知っててくれたんだ。


「あぁ、うん。いいのいいの。気まずいけど言い返す必要もないしね。」


このこの名前はなんだろう。なんか見たことあるんだよな……。


ボブの綺麗な髪の毛と、肌の白さが目立つ。そしてパッチリとした目と口元のホクロが可愛らしい。


なんだったかなぁ。


「ごめん、名前聞いてもいい?」


「あ、すいません。私、立花葵(たちばなあおい)です。」


立花、葵……って、もしかして天才すぎるって噂の子?


首席をキープし続けて3年目、未だに1位以外を取ったことがないという、立花葵?


最高得点は498点、最低得点が489点という、あの立花葵?


「名前知ってたわ、あの超頭いい子でしょ?」


「いえ、全然ですよ。」


めちゃくちゃ謙虚だなあ。


さっきから敬語が抜けてないし、喋り方も雰囲気も丁寧な大和撫子という感じだ。


「私、中川さんにずっと憧れてたんです。良ければ友達になって貰えませんか?」


「えっ、いいの?友達できたの初めてなんだけど。」


正直にそう言うと、葵ちゃんは驚いた表情をしつつも嬉しそうに微笑んでくれた。


人生初めての友達がこんな天才とは……。
< 15 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop