苦手だったあなたへ
この子、私の何に憧れたんだろう、逆に崇拝されるべきは葵ちゃんのはずなのに。


「私も体育委員になったんです。一緒に頑張りましょう!良ければ連絡先も……。」


凄い、友達作ってる時ってこんな感じなんだ。


初めての経験に嬉しい気持ちで溢れた。


そして、運命の放課後の体育委員の活動。


体育科の先生は紺野先生を含めて3人もいる。


でも、中心となって仕切っていくのは紺野先生だ。


「まずは委員長を決めようかな。」


委員会に入っただけでも偉いんだから、委員長なんて面倒くさそうな仕事、絶対にやりたくない。


でも、手は挙がらずにシーンとした空気感を保っている。


「みんな、可愛い委員長がいいよね。じゃあ……。」


何その前置き、これで指されたらより気まずくない?


「立花さん、よろしくね。」


あ、私じゃなかった。葵ちゃんだった。


まぁそうだよね。私が可愛い部員として抜擢されるわけないんだから。


期待して損したというか、紺野先生の発言がこのご時世的に大丈夫なのかが心配だった。


葵ちゃんはちょっとドキドキしてるみたいだった。


確かに、委員長って結構大変って聞くし、緊張しちゃうよね。


「じゃ、委員長も決まったことだし、5月に行われる体育祭の説明をしていきます。」
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