苦手だったあなたへ
この間の体育なんか、いつも以上にチャラさ全開だった。


持久走をすることになって、みんな気分が下がっているところ。


「はいじゃあ男子から行こう。」


「えぇー、だりぃ。」


「まじでやりたくねぇ。」


クラスでも目立つ感じの男子グループがコソコソと悪態づいていた。


でもこの人たちは普段は先生のこと好きだし持久走に対してグチグチと言っているのだ。


いくら紺野先生でも持久走をやるとなるとクラスの雰囲気は悪くなる。


走り始めた男子たちが、女子の待機場所を通った時、先生が不意に叫んだ。


「おーい、彼女見てるんだからちゃんと走れー。って、お前ら彼女いねーか。」


ハハッと軽く笑うと男子の走る波に混じっていった。


男子たちは、「ひでぇ先生!」「そういう先生もフリーでしょ?」と喜んでついていく。


うわぁ、いじりが過激だなぁ、と思いながら私は日焼けしないように日陰にたたずんでいた。


他の女の子たちは先生を見るのに忙しくて日焼けは気にせずに応援している。


先生も目の前を通っていく時に手を振ったりしている。


キャーという声も上がるけどうるさいよ……。


ったく、いい時だけ調子乗って……。


先生が女子の元に戻ってくると、男子たちはまたずるいずるいと騒ぐ。
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