苦手だったあなたへ
うちのクラスほど体育が騒がしいことないだろうなってくらい明るく盛り上がっていた。


持久走って聞いた時にはみんなため息をついて暗かったのにね。


「1位になったヤツには先生からの投げキッスでもあげようかな?」


ふざけたようにそういうと男子たちはよりやる気をあげて走り出す。


ウケ狙いかな……?


女子の番になって、みんな投げキッスを目標に張り切っている。


「1位になったら結婚して!」とか言う陽キャ女子もいた。


私はぼっちだし、運動神経も悪いので持久走とかは大嫌いだ。


先生関係なしに。


今日も3周目辺りから脱力してラスト2周でももう誰も走ってなくて目立っちゃわないか心配だったけど平気だった。


「先生私1番!」


「いやいや、私が結婚するんだよね!?」


カオスな状況に救われた。


私が走り終わってから、紺野先生が少し話して授業が終わった。


「俺ちょっと片付けあるから待たなくていいよ。」


紺野先生ファンに待ち伏せされていた先生はそれだけ言って器具を片し始めた。


大きいストップウォッチに、ラインカー、カラーコーンなど、持久走でも結構多い。


1人は大変だろうし、手伝おっかな。


珍しくそういう善意があったので、先生の元に行って片付けを始めた。
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