苦手だったあなたへ
生徒席に戻されてから、紺野先生は教員用のテントの下へ戻って行った。


今、結構差があって2位だ。3位のクラスともそれくらい離れてるんだけど。


1位の緑組は学年主任の九重先生のクラス。


やっぱり、九重先生めっちゃ練習させてたらしいし、強いなあ。


残った競技はクラス対抗の全員リレー。


私は怪我をしたので、補欠を出してもらうことにした。


生徒席に座る3年生は私1人だけで、恥ずかしい。


「よ、月葉一緒に応援しような。」


「こ、紺野先生……いいんですか、他の先生方はトラックの内側でメガホンまで持ってますけど。」


「大丈夫。」


涼しい笑顔でそう言ってから、紺野先生も青色のメガホンを取りだして叫んだ。


「ほらほら、走れ走れー。勝ったらなんでも奢るぞ。」


大丈夫かな、その応援の仕方。


保護者もいるのに、すごい大胆だ。


「きゃぁ!龍ちゃん見てるから頑張ろ!」


「絶対勝つんだけどぉ。負ける気しない!」


すごいな、女子にとっての紺野先生パワーは。


私も友達はいないけど一応頑張ってー、と手を振った。


アンカーにバトンが渡るまで、紺野先生の声でいつも以上の力を発揮した女子軍のおかげで1位に保たれていた。


いよいよアンカー……!
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