苦手だったあなたへ
好きって、どういう意味でだろう。


人としてっていうのはもちろん。一緒に住ませてくれるし、人を笑顔にするのが上手だし。


恋愛感情かと言うのは違う。立場的にも無理だし。


「まぁ、それなりに。いい先生だと思いますよ。」


「やっぱり、中川さんもだよね。」


さっきからなんだか不安そうな嫌そうな顔をしながら喋っている。


旗本先生、どうしたのかな。


旗本先生の言動に引っかかる箇所が多いとは前から感じていた。


今だって、この発言以外に何か不可解なことがあったような気がする。


なんだろう……。


「月葉……と旗本先生?なんでこんなところに。」


紺野先生が私たちの座るベンチにやって来た。


修羅場になりそうでちょっと怖い。


多分そんなドジは踏まないだろうけど……顔がなんか怖いよ紺野先生。


私が夜遅くまでここにいることに怒ってる?


「これはこれは、紺野先生。」


旗本先生も暗くてよくわからないけど目つきが怖い。


「じゃあ中川さん、また来週ね。」


そう言うと、旗本先生はスタスタと帰った。


意外だった。私のことを呼び止めていた割には、紺野先生が来るとあっさりと帰宅したから。


「もう月葉、遅くまで出歩きすぎだよ。今9時過ぎてるんだけど。」
< 34 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop