苦手だったあなたへ

〈紺野side〉

スースー、と規則正しい寝息が聞こえて、月葉の方を見ると寝ていた。


余程疲れたんだな。


体育祭なんて、運動が苦手な月葉からしたら嫌な行事のトップだろうに頑張ってたし。


クラスの打ち上げなんて行きたくないだろうに引っ張られて来ていたし。


それ以外にもたくさんのハプニングで疲れてるだろうな。


抱きかかえて、ソファーに乗っけてからタオルケットをかけた。


相変わらず可愛い顔してるよなぁ。


前から、全然目立たないのに可愛い子がいるなぁと思っていた。


男子の間の噂もよく聞く。


この間も隣のクラスの男子が、この学年でトップスリーに入るくらい人気だって話してたし。


そのせいで旗本先生なんかに好かれちゃって厄介だよな。


俺も人のこと言えないけど。


月葉の真っ直ぐな素直な性格とか、周りのことを気にしないとことか、憧れていた。


それが恋愛感情に発展するのかは俺が決めれることじゃないからわからないけど。


俺は、月葉のことを好きになり始めてるのかな?


今一緒に暮らしていて、学校ではなかなか見られない表情、仕草を見ることが出来て、嬉しい。


月葉にとって特別であるだろうという優越感に浸れるから。


「可愛いな、月葉は。」


聞こえるはずのないその声が静寂に溶ける。
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