苦手だったあなたへ
何も考えてないのに、軽々しくそんなこと言わないでよね。


「いやいや、だってどうにもなんないでしょ?月葉これからどうするつもりなの?」


確かに、どうするのかと聞かれても私は何も答えられない。


でも、だからと言って担任と同居なんて……。


「大丈夫だって。別に俺は誰にもばらさないから。」


当たり前でしょうが、教師としての信頼も、最悪は職も失うんだから。


「はぁ……わかりました。じゃあ失礼してもいいですか?」


「うん。学校とプライベートは別々で、それだけ約束。」


そうとだけ言うと、先生はキッチンに向かって行った。


でも、こんな流れで同居になったなんて、両親にも言えない。


お父さんなんかにそんなこと言ったらどんだけ怒られるのやら……。


居心地はいいのか悪いのかわからない。


紺野先生の部屋は、思ったよりも物がなくて落ち着いている。


「そっか、服とか無いのか。俺の姉貴の服なら大量にあるぞ。」


「ありがとうございます。」


使いにくい。


それに、生活に必要な物はそれ以外にもあるよね。


先生にはとても言いにくいんだけど。


「あ、女の子だもんね。はいこれ、貸したげるから明日でも買い物に行ってきな。」


先生はそう言うと、私に1万円札を5枚くれた。
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