苦手だったあなたへ
夏休み中の学校
うわ、ちょっと小走りしただけでこんなに汗ってかけるものなの?


すっごい暑い……。


ただいま学校に行く途中です。


でもまだ新学期ではない。ちょっと理由があってわざわざやってきた。


別荘に行く日はもうちょっと後だ。


本来なら冷房がガンガン聞いている快適な家でごろ寝する予定だったのに。


夏休みにまで学校に来ることになるなんて、想定外どころか最悪だ。


「ありがとね、月葉。今日まさかこんな偶然が重なるとは。」


人を暑い中呼び出した側とは思えないのんきなセリフだ。


目の前に立つスポーツウェア姿の紺野先生をキッとにらんだ。


茶道部の顧問のはずの紺野先生がなぜ体育館にいるのかは、さっき電話で事情を話された。


男子バスケットボール部の顧問をしていた先生が夏風邪で寝込んでしまい、そのピンチヒッターとして紺野先生が抜擢されたんだとか。


茶道部は活動日数も全部活の中で1番少ないといわれているくらいだし、紺野先生も快く引き受けたらしい。


でも、それだけじゃ私がここに呼び出されるのはおかしな話。


なんと男バスのマネをやっている子も予定ができて休むことになったらしくて、紺野先生は慣れていないから、という理由で私がマネの代わりをすることになった。


先生を取り巻く女の子たちはこの学校にめちゃくちゃいるのにね。
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