苦手だったあなたへ
でもとにかく何か言わなきゃ。


「1回夏休みの課題について九重先生に聞きに来たからその時に言われたの。」


我ながらいいウソではあるよね?


葵ちゃんは納得したような顔をしたけど、本心がどうなのかはわからない。


少し、というか結構表情が読み取りずらいな、何考えてるかわからなくて怖いかも。


「へぇ、そういうことだったんだ。なんか中川さんって紺野先生のお気に入りですよね。って、本人は気づいてるか。」


え?


葵ちゃんが口から出す言葉も、それを出す表情も、全部が黒く見える。


私が過去に何度か経験した嫌味や皮肉を言われるときと同じ見え方だった。


葵ちゃんの言い方だと、私がうぬぼれているみたいだ。


そんなことないし、まぁ一緒に住んでるから他の生徒より親しく見えるのは確かだけど。


「まぁ中川さん可愛いですもんね。あ、そろそろ戻らなきゃだ、じゃまた!」


無理やり切り返されたけど、まだ少し心に突っかかりがある感じがする。


って、私も早く戻らなきゃだ。


普通のコーヒーとカフェラテを買って体育館に戻った。


「お待たせしました、紺野先生、コーヒーとカフェラテどっちがいいですか。」


座っている紺野先生をのぞき込むと、スースーと規則正しい寝息で居眠りをしていた。
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