苦手だったあなたへ
こんなに……返そうかと思ったけど、紺野先生は絶対受け取らないだろうと思って黙っておいた。


「つい最近まで姉貴と2人で住んでたんだけど、姉貴が結婚したから姉貴の物だいたい残ってんだよね。使っていいよ。」


お姉さんがいるのはさっきから聞いてたけど、そんなにお姉さんの私物を勝手にしていいのかな?


まぁ、お言葉に甘えることにするけど。


その日はお姉さんの部屋で寝たんだけど、いつもみたいにすぐ寝付けなくて翌日は寝不足だった。


学校に行っても、いつもと変わらない日常。


だと思ってたんだけど……。


「月葉、昨日寝れた?」とか、「月葉、今日先帰るなら家の鍵渡すな。」とか言ってくる紺野先生。


ばらしたいのかばらしたくないのか微妙な声量でそう伝えてくるのが不思議だ。


「あの、声のボリューム下げた方がいいんじゃないですかね。聞こえますよ。」


と言っても、紺野先生は「そっかぁ。」などと笑っている。


大丈夫か本当に不安になった。


まだ教師歴2年のほぼ新任だし、信用しがたい性格してるし。


昼休みは、だいたい1人でお昼ご飯。


カフェテリアも購買部もあるから、陽キャグループとか、恋人同士なんかは屋上に行ったりもしてる。


私の場合は、購買部で買ったパンを食べる。
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