苦手だったあなたへ
「さ、まずは荷物を置いてどっか行こうよ。」


荷物をその辺に置いて、私と紺野先生は別荘を出た。


まだ午後の2時半だ。


「海は明日にしよ。それより行きたいとこがあるんだよ。」


「行きたいところ?」


車ではなく、歩いていくと言われたので、それまで履いていたヒールサンダルをスニーカーに変えた。


2人で歩いて10分ほど、近くの通りまでやってきた。


「ここでなんか色々買お。土産とか。ご両親にも遊んできたとか言ってなんか買ってあげれば?」


「確かに。いいですね、楽しそう。」


通りは人の量もちょうどよく、落ち着いた空間ができていた。


お昼ご飯はコンビニで買った菓子パンだったから、なんか美味しそうなもの買おう。


「わっ、これ美味しそ!先生ちょっと入りましょ!」


あるお店の窓ガラスの中に入っている食品サンプルたち。


ただの喫茶店みたいだけど、レトロで可愛い。


「え?まぁいいけど。」


喫茶店に入ってから、ソファー席に腰掛けた。


メニューを開いて見ると、まさに、という感じのメニューがたくさん載っている。


「うわぁ、全部魅力的すぎる……!とりあえずオムライスとコーヒーゼリーとガーリックトーストと……。」


「何がとりあえずだよ。頼みすぎだ。俺はナポリタンで。」
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