苦手だったあなたへ
サービスエリアにすぐ到着して、1回先生が車を停めた。


それまで黙りっぱなしでとにかく気まずい。


「先生、えっと、私は……先生のこと……。」


言うの緊張する。


でも言わなくちゃ。


「好き、です。私も先生のこと、好きなんです。」


言っ……ちゃったよ……。


というか、自然と私の口から好きって言葉が出てきたことが驚きだった。


私、やっぱりいつの間にか先生のこと好きになっちゃってたの?


でも、好きになるきっかけなんてあったかな?


そう考えると、私って面食いなの?嫌かも……。


「えっ……嘘、ホント?」


嘘も本当もないけど、私が思ったことが口に出たのは事実だ。


こくりと頷いた私を見て、先生はすぐ目を逸らした。


あれ、もしかして照れてる?


あの先生が!?


「先生、照れてるんですかぁ?女経験豊富で私のことバカにしてるんじゃなかったんですかぁ?」


ニヤニヤ笑いながらそう言うと、先生は私に向き直った。


やけに真面目な顔してるけど……。


と思っていると先生の顔が近づいてきた。


えっ、何何!?何しようとしてるの……!?


「月葉こそ、顔赤いよ。」


顔をくっつきそうな距離で止めて、そう呟いた先生。


ぐっ、なんか敗北感……。
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