苦手だったあなたへ
「ちなみになんですが、月葉さんは好きな人とかいますか?」


うっ、どうしよう。


ここで嘘をつくのは私的によくなさそう。ばれる可能性が高まるだけだ。


つまり、あえて本当のことを織り交ぜながら話す。


「私もあんまり人には言ってなかったんだけどね。付き合ってる人がいるんだ。」


ま、まぁ……私も思春期が終わりそうな18歳だし。恋人がいるのも不自然じゃないし?


「へぇ、やっぱ月葉さんは恋愛経験豊富で大人っぽい!私なんてまともに目を合わせて喋れたりしませんよ。」


「そっかぁ、じゃあまずは目を合わせて話せるようになることが課題だね。1回話せたらぐいぐい距離も縮まるだろうしね。」


「はい!私、頑張ってみます!」


なんだか私、恋愛経験豊富とか勝手に思い込ませて雑に偉そうなこと言って、最悪じゃない?


これで万が一失敗したら確実に私のせいすぎる。


「じゃ、また明日。」


そういって手を振って昇降口に向かっていった葵ちゃん。


「ばいばい」とか「じゃあね」とかじゃなくて「またね」って言うのモテ女子って感じがするよね。私だけかな。


ふぅ、ひとまず変にぼろを出したりせず、何事もなく会話が終わってよかった。


にしても先生って一体誰なんだろう。葵ちゃんに好かれるとか運良すぎない?
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