苦手だったあなたへ
「誰もいないので……じゃあ、ご一緒してもいいですか?」


私がそう言うと、先生はあっさりとした笑みを浮かべて頷いた。


先生が先に中に入ってから私も入った。


木でできたテーブルと真新しい椅子が置かれてる。椅子は組立式のものみたい。


「これ、俺が持ってきたんだよね。使っていいよ1個。」


紺野先生が座るために椅子をわざわざ持ってきたらしい。


3個も必要だったのかはわからないけど、私も1個借りて腰掛けた。


「今日は買い物行くのか?」


「あ、はい。ありがとうございます、何から何まで。」


お金を貰ったことも、一緒に住まわせてくれてることも。


「生活費とかはどうするつもりだったんだ?」


「父と母から仕送りしてもらう……あ、仕送り。」


すっかり忘れてたけど仕送りしてもらうんだよね。


現金なわけないから、多分電子マネー?話をちゃんと聞かなすぎてわからないけど連絡しとこう。


「1ヶ月ごとに取ってきますね。月々どれくらい渡せばいいですか?」


「ん、今月終わってからでいいよ。出費見て決めよ。」


そう言うと先生は焼きそばパンを取り出した。


先生もやっぱり買うよね、お弁当作ってる様子も無かったしな。


黙々と食べ出してて、2人でいるのに気まずい。


「黙って食べるんですね。」
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