苦手だったあなたへ
本当に変わった人だなぁ。


旗本先生はカバンをもってサッと帰ってしまった。


俺も、取り合えず帰ることにした。


職員室で荷物をまとめる。


「あぁ、紺野先生。何かあったんですか。先ほど保健室やら第2会議室で騒いでたみたいですが。」


こんな時に、九重先生……。


めんどくさい人がまた絡んできた。


「大丈夫です。ちょっと今日早めでいいですか?」


「まぁテスト期間でもないし、保護者の方々からも何もないし、先生の個人的な業務が済んでいるのなら……」


「ありがとうございます、失礼します!」


相変わらずのおっそい話し方、本当にやめてほしい。


生徒からの評判が良くない教師は、教師からも嫌われるんだと思う。


家に着いたのが8時を過ぎていなくて良かった。


普段早く帰ったときは7時半には家につけるから、一緒にご飯を食べる。


遅いときは本当にひどい時間までかかるけど。


家の玄関のドアを開けて、中に入った。


「ただいま……なんかいい匂い。」


「あ、お帰りなさい。ちょっと、余ってたものでてきとうに作ってしまったんですが。」


ダイニングテーブルにはトマトのスープとたくさんの種類のコッペパンが並んでいる。


何これ、すっごいな……こんなことできる余裕が心にあったのか?
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