苦手だったあなたへ
「すみません、私やっぱり料理が好きなのかも……あ、でも紺野先生のおかげでだいぶ気持ちは楽になりました。」


「ごめんな、本当に俺のせいだ。もっと注意深くしてればよかったのに。」


思わず月葉のことを抱きしめた。


「先生……。」


月葉、冷たい体してるな。ずっとボケっと座ってたのかな。


全部俺のせいだ。俺がずっとチャラチャラと何も考えてなかったから。


「や、別に先生のせいじゃないです。正確には、先生だけのせいじゃないですよ。」


「え?月葉に何も悪いとこないだろ。俺だよ、ダメなとこばっかで……。」


「そういうところ。そういう、私に優しいところが少なくとも私の助けにはなってるんです。だから、先生だけが全部悪いわけじゃないです。」


月葉はどこまで寛大なんだろう。


初めて見たときはさばさばとした女の子としか思ってなかったけど、普通にめっちゃ優しいよね。


ずっと月葉の本質まで知らず、俺は何をしていたんだか。


「ね、キスしてもいい?」


「えっ、今?急にどうしたんですか……?」


俺はただただ月葉を感じたくて、黙って唇を近づけた。


「待って、私、さっき旗本先生にキスされちゃった……。」


あいつ……。


平然としてる割にとんでもないことしてたんだな……。
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