苦手だったあなたへ
「ん?動画でも見ながら食べると思った?」


……。


なんでこの人は人が考えてることをすぐに読み取るのだろうか。


「そんなことしないよ。ご飯食べてる時はご飯に集中しなきゃでしょ?」


食い意地とかじゃなくて、先生の感性的なところなのかな。


チャラそうに見えて意外と礼儀正しい人だ。


「月葉にも色々家事やってもらお。」


「あ、もちろんです。何すればいいですか?」


家事は家でやってたから、割と慣れている方だと思うけど。


なにせ、お父さんもお母さんも忙しくてしょっちゅう家で1人だったしなぁ。


お昼ご飯食べてる間は、これからの先生との生活の話で色々と……あっという間だった。


いつも1人だからパンが無くなるのがこんなに早いと思ってなかった。


北校舎を出て廊下を歩けば、周りの生徒の視線は先生に集中する。


陽キャっぽい感じの女の子3人組が、突然紺野先生に絡んでいった。


「やばぁい、龍ちゃんに会えただけで今日幸せ〜!」


「うちも〜!!龍ちゃん担任が良かったぁ。」


隣のクラスの人たちなんだ。


あまり人の顔も名前も覚えかられない私にとって、学年が同じなことくらいしか知らないからなぁ。


にしても龍ちゃんて……今どきの女子高生は教師をあだ名で呼ぶのか?
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