苦手だったあなたへ
「旗本先生と間接キスになるけどいいの?」


「尚更、消毒しなきゃでしょ。」


無理やり、強引に唇をふさいでしまった。


教師として、というか大人の男として、情けないことしちゃった。


俺の言ってることもなんかよくわかんないし。


でも、月葉に触れられていることがもうとにかく嬉しくて、とにかく幸せだった。


1度離れて月葉の顔を見ると、やけに照れていて、でも俺と同じように幸せそうで。


「ごめんなさい、ファーストキスが先生じゃなくて。」


「いいんだよ、別に。俺は月葉が幸せなら本当に何でもいい。」


ドラマでよく見るセリフ、あんなの嘘だと思ってたけど、自分で言ってみると本当だったな。


「とりあえずご飯食べましょ。今日はジャンキーなものを作ってしまいましたが。」


「美味しそうじゃん。それに、元気ないときは何でもいいから楽しく食べるのが1番なの。」


「……そうですね、好きな人と、楽しく食事。」


月葉と一緒に食卓につく。


今日何度目かわからない、幸せをまた心の中で嚙み締めた。
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