苦手だったあなたへ

月葉side

コッペパンなんて、ちょっと今の気分には合わないかも。


でも余ってたから作りたくなっちゃったんだよね……。


紺野先生と暮らして、ご飯を作るようになってから、料理が好きだったことがわかった。


相変わらず、紺野先生は良くも悪くも私にしっかりと影響を与えてくれてるなぁと改めて思った。


旗本先生とのあんなに嫌な思い出があるのに、私はキッチンに立つ余裕すらがあった。


なんていうか……私のメンタル強くない?


正直、優しそうな旗本先生が私にあんなことしてきたのはショックだけど。


でもそれより紺野先生の言葉を信じられなかった自分に幻滅してるのがあって。


さっき言い忘れちゃった、あとでちゃんと謝らなきゃな。


それから、紺野先生との初めてのキス……。個人的に今1番の衝撃である。


私のせいで紺野先生職を失いそうなのに、こんなことしてるのは大丈夫なんだろうか。


どっちもタフすぎて標準がよくわからない。


「月葉、明日学校行けそう?」


「え、普通にめちゃくちゃ行けますよ。もう全然大丈夫。」


可愛げのない返事をしてしまった。


紺野先生、私のこと好きになってくれたんだろうけど、どこを好きになったのか聞いたことなかったな。


「それより、聞きたいことがあるんですが……。」
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