苦手だったあなたへ
―――――朝、学校に行くと、周りからの視線が痛かった。


針というか棘というか、チクチクと刺されているみたいだ。


「え、あの子?龍ちゃんと同棲してたの。」


「うっそ、なんであんなのと。龍ちゃんってあれがタイプなの?ショックなんだけど。」


あぁ、私のせいで紺野先生が誤解されている。


「中川さん、ちょっといらっしゃい。」


教室で1人ポツンと座っていた私に、九重先生が声をかけに来た。


多分職員室だかどこかに連れて行かれるんだろうな。


「はい。」


それだけ返事をして後をついて行った。


第2会議室……昨日紺野先生と旗本先生が対談していたところ。


「入りなさい。」


「失礼します。」


九重先生の指示通り、私は中に入った。


校長先生、教頭先生、紺野先生が中にいた。


なんでこんな大人だらけの場所に私1人で入らなきゃいけないの……ちょっと怖い。


でも、紺野先生が私の方を見て優しく笑ってくれた。


それを見て少しだけ安心。


紺野先生の座るソファーに腰かけた。


目の前のソファーには校長先生、教頭先生、九重先生が座った。


こんなこと、滅多にないから普通に緊張する。


対して紺野先生は24歳で1周りは軽く超えている3人と対面しても冷静でスンとした顔をしている。
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