7.5日目のきみに会いたい
第14話 河川敷の思い出
「澄矢くん。呼んでたよ。来てくれたんだね」
白いワンピースに麦わら帽子の雫羽がそこにはいた。澄矢は、雫羽の手に無意識に手を伸ばした。今、手を繋いておかないともう手を繋げないのではないかという不安が頭をよぎる。
肌は白くて細かった。爪も素肌で綺麗だった。ピンク色だった。何も言わずに触っていると雫羽は恥ずかしくなってきて、頬を赤める。
「ねぇ、澄矢くん……?」
「え。あ、うん。ごめん。肌白いなぁって見てた」
「えへへ、ありがとう。嬉しいな」
「なぁ、雫羽、聞きたいことがあったんだけどさ」
「ん?」
ここでいつもだと聞いてはいけないだろうかと思うように、
次元の歪みが生じて、現実世界に飛ばされる。
今回は何も変わらない。
なぜだろう。辺りを見渡した。
「どうしたの? 聞きたいことってなに?」
片方の手を繋いだまま、嬉しそうにニコニコと雫羽は見上げて、澄矢に問う。
「あ、えっと、調べたら、同じ学校で同級生だったんだけど、隣のクラスだったんだ」
「あー、そうなんだ。調べちゃったんだね」
「え? 調べちゃダメだった?」
「ううん。むしろ、その逆だよ。すっっごく嬉しいよ!!!」
雫羽は少し離れて、口に手をあてて叫んでいた。本当に嬉しいそうに無邪気に笑っている。澄矢も自然と口角が緩んだ
「あ、うん。ありがとう」
「残念、違うクラスかぁ。同じクラスだと良かったね。私の席見てきた?」
「ううん。隣のクラスに行ったけど、わからなかった。どこだったんだろう」
靴を脱いで、ワンピースの裾を持ちながら川の水に足先を入れ始めた。
「あまり、深いところいくと転ぶよ!」
「え、だって、冷たくて気持ちいいからさ」
そうこう言っているうちに案の定、雫羽は、転びそうになる。
慌てて、バシャバシャと水飛沫をあげて澄矢は雫羽を助けに行く。
澄矢は雫羽の下敷きになった。
「あたたたた……ごめん!! ごめんね!! 痛かったでしょう?」
「もう、ずんずん先に進むから。危ないって言ってるのにさ。いたたた」
後頭部をかきながら、体を起こす澄矢は、雫羽と体ごと向かい合わせになった。
ふと見つめ合う。
「ありがとう。助かったよ」
後ろ側に両手をついていると、雫羽は澄矢の額にキスをした。
お礼のつもりだった。びっくりして、体が固まった。川の水がチョロチョロと流れていく音が聞こえた。
「……あ、嫌だったよね。急に。ごめんね」
固まった澄矢を見た雫羽は、残念そうな顔した。
「え、いや、うん、いや! 全然、全然、嫌じゃないって。大丈夫って、その言い方も変だな。どう言えば良いかなあ……」
頬を赤くして動揺している澄矢を見て微笑ましくなった。そっと、雫羽は、澄矢の唇にキスをした。
「え?!! ま、うわ、嘘でしょう」
「えへへへ……」
猿が温泉に入ったみたいに澄矢は真っ赤になっていた。雫羽は一緒になって赤くなる。 同時に嬉しくなった。そんな幸せな時間が永遠に続くと思っていた。
突然、雫羽は胸をぎゅっとおさえて息苦しそうにしている。呼吸が荒くなった。大丈夫かと声をかける暇なく、川の中にスローモーションで倒れていく。
今度は助けるのが間に合わなかった。怪我はしていないが、浅瀬の水の中に横になり、胸をおさえている。どうしたらよいかと澄矢はパニックになる。
「雫羽! 雫羽!!」
叫んでいるうちに、景色が一瞬にして空間が歪んで、目の前にいた雫羽は手の中から砂のように消えていった。
これは夢なのか。
できることなら夢であって欲しい。会えたことは現実みたいだったが、倒れたことは夢で元気な姿でいてほしいとさえ願った。澄矢は、空間の歪みの虹色の世界に投げ出されて、その空間の記憶が消えた。今は一体どこにいるのだろう。
白いワンピースに麦わら帽子の雫羽がそこにはいた。澄矢は、雫羽の手に無意識に手を伸ばした。今、手を繋いておかないともう手を繋げないのではないかという不安が頭をよぎる。
肌は白くて細かった。爪も素肌で綺麗だった。ピンク色だった。何も言わずに触っていると雫羽は恥ずかしくなってきて、頬を赤める。
「ねぇ、澄矢くん……?」
「え。あ、うん。ごめん。肌白いなぁって見てた」
「えへへ、ありがとう。嬉しいな」
「なぁ、雫羽、聞きたいことがあったんだけどさ」
「ん?」
ここでいつもだと聞いてはいけないだろうかと思うように、
次元の歪みが生じて、現実世界に飛ばされる。
今回は何も変わらない。
なぜだろう。辺りを見渡した。
「どうしたの? 聞きたいことってなに?」
片方の手を繋いだまま、嬉しそうにニコニコと雫羽は見上げて、澄矢に問う。
「あ、えっと、調べたら、同じ学校で同級生だったんだけど、隣のクラスだったんだ」
「あー、そうなんだ。調べちゃったんだね」
「え? 調べちゃダメだった?」
「ううん。むしろ、その逆だよ。すっっごく嬉しいよ!!!」
雫羽は少し離れて、口に手をあてて叫んでいた。本当に嬉しいそうに無邪気に笑っている。澄矢も自然と口角が緩んだ
「あ、うん。ありがとう」
「残念、違うクラスかぁ。同じクラスだと良かったね。私の席見てきた?」
「ううん。隣のクラスに行ったけど、わからなかった。どこだったんだろう」
靴を脱いで、ワンピースの裾を持ちながら川の水に足先を入れ始めた。
「あまり、深いところいくと転ぶよ!」
「え、だって、冷たくて気持ちいいからさ」
そうこう言っているうちに案の定、雫羽は、転びそうになる。
慌てて、バシャバシャと水飛沫をあげて澄矢は雫羽を助けに行く。
澄矢は雫羽の下敷きになった。
「あたたたた……ごめん!! ごめんね!! 痛かったでしょう?」
「もう、ずんずん先に進むから。危ないって言ってるのにさ。いたたた」
後頭部をかきながら、体を起こす澄矢は、雫羽と体ごと向かい合わせになった。
ふと見つめ合う。
「ありがとう。助かったよ」
後ろ側に両手をついていると、雫羽は澄矢の額にキスをした。
お礼のつもりだった。びっくりして、体が固まった。川の水がチョロチョロと流れていく音が聞こえた。
「……あ、嫌だったよね。急に。ごめんね」
固まった澄矢を見た雫羽は、残念そうな顔した。
「え、いや、うん、いや! 全然、全然、嫌じゃないって。大丈夫って、その言い方も変だな。どう言えば良いかなあ……」
頬を赤くして動揺している澄矢を見て微笑ましくなった。そっと、雫羽は、澄矢の唇にキスをした。
「え?!! ま、うわ、嘘でしょう」
「えへへへ……」
猿が温泉に入ったみたいに澄矢は真っ赤になっていた。雫羽は一緒になって赤くなる。 同時に嬉しくなった。そんな幸せな時間が永遠に続くと思っていた。
突然、雫羽は胸をぎゅっとおさえて息苦しそうにしている。呼吸が荒くなった。大丈夫かと声をかける暇なく、川の中にスローモーションで倒れていく。
今度は助けるのが間に合わなかった。怪我はしていないが、浅瀬の水の中に横になり、胸をおさえている。どうしたらよいかと澄矢はパニックになる。
「雫羽! 雫羽!!」
叫んでいるうちに、景色が一瞬にして空間が歪んで、目の前にいた雫羽は手の中から砂のように消えていった。
これは夢なのか。
できることなら夢であって欲しい。会えたことは現実みたいだったが、倒れたことは夢で元気な姿でいてほしいとさえ願った。澄矢は、空間の歪みの虹色の世界に投げ出されて、その空間の記憶が消えた。今は一体どこにいるのだろう。