7.5日目のきみに会いたい
第32話 心の錆
なぜかわからないかとにかく月曜日になるのが嫌いだった。
どうして、早く起きなくてはいけないのか。どうして、ずっと寝ていてはだめなのか。高校生の澄矢にはそれにもがき続けてきた。学校なんて、稼ぎに行ってるわけじゃない。意味がないに決まっている。そう思っていた。
ある時を境に水城雫羽という女子に会い、その子に夢中になった。不思議な感覚で、毎週月曜日の前の日。三日月曜日が発生して異空間にて夢のような世界で雫羽に会い、特別な時間を過ごしていた。蓋を開けてみるとそれは幻想で、現実ではなかった。現実の雫羽はずっと病院に入院していて、動くことさえ叶わなかった。そこから思いを飛ばして、澄矢と河川敷で水切りをする時間ができた。夢だと分かっていたが、澄矢にとってはそれがものすごく心救われていた。学校に行くと、もしかしたら、彼女に会えるんじゃないかと思いを作らせてくれた。実際は学校で会うことは叶わなかった。いつの間にか、病院のベッドの上、話すことのできない雫羽がそこにいる。会話を交わすことなく、亡くなってしまった。お葬式にも参列して、最近、また幽霊のように現れて、澄矢を一緒に天国に連れて行こうとした。でもそれは、澄矢にとってうれしいことだった。現実のように接してくれてるようで、そばにいてくれてるようで本心で一緒に逝きたいと思ってしまった。でも、それ叶わない。まだこの世界で生きろと神様が存在するならば、言われてる気がした。雫羽が時々出てくるのは、自分の活力をあげろとそういう力が雫羽という姿で出て来たのだとそう思った。
もう、雫羽のことを考えるのはやめよう。もう、考えなくても明日は明るい。そう信じれる自分になったのだと言い聞かせた。
「澄矢、これ、ここに置いていい?」
茉大がコンビニで買ったものを袋ごと台所のまな板置きに置いた。不意に後ろからぎゅっと抱きしめた。心がなぜかぽっかりと開いたように寂しくなった。本当に雫羽はいないんだと思うと、また思い出して、泣きたくなった。なんて、未練がましいんだろう。
「どうしたの?」
後ろ向きで頬を触る茉大に向かい合せでさらにぎゅっと抱きしめた。
「もう離さない」
「く、苦しいんだけど……」
「ご、ごめん。今日、泊まれる?」
「うーん、明日も講義あるし……レポート仕上げてないんだよね」
「そっか。んじゃ、送るから」
夜道は危険だと、しっかりと送らないといけないなと思った澄矢は上着を着た。
「いやいや、まだまだ来たばかりじゃん。これ、飲んでからでもいい?」
コンビニの袋に入ってるお酒とおつまみを並べる茉大ににこっと微笑んだ。
「それ、飲んだら、最後寝かしちゃうよ?」
「え? 寝かせないよじゃないの?」
「……寝かせなくていいの? 本当?」
「嘘、やっぱり帰るのやめる」
「どういうこと?」
茉大は、澄矢のシャツの裾をつかんで言う。
「たまにはずる休みしちゃってもいいじゃん」
「あ、え? 嘘、茉大からそういう言葉出るとは思わなかった」
「風邪引いたら誰だって休むっしょ。私、明日風邪引く予定だから」
「マジか」
澄矢は茉大の両手をぎゅっとつかんで、またハグをした。
真面目に行くのもいいだろうけど、少し疲れたら休むのもありなんだなと茉大から教わった気がする。何のためにしてるのか。行きたいときに行くという気持ちにすっきりした時でもいいなと感じた。現実の世界でアドバイスをくれる茉大がいるのなら、もっと早く出会いたかったそんな気がしてならなかった。
どうして、早く起きなくてはいけないのか。どうして、ずっと寝ていてはだめなのか。高校生の澄矢にはそれにもがき続けてきた。学校なんて、稼ぎに行ってるわけじゃない。意味がないに決まっている。そう思っていた。
ある時を境に水城雫羽という女子に会い、その子に夢中になった。不思議な感覚で、毎週月曜日の前の日。三日月曜日が発生して異空間にて夢のような世界で雫羽に会い、特別な時間を過ごしていた。蓋を開けてみるとそれは幻想で、現実ではなかった。現実の雫羽はずっと病院に入院していて、動くことさえ叶わなかった。そこから思いを飛ばして、澄矢と河川敷で水切りをする時間ができた。夢だと分かっていたが、澄矢にとってはそれがものすごく心救われていた。学校に行くと、もしかしたら、彼女に会えるんじゃないかと思いを作らせてくれた。実際は学校で会うことは叶わなかった。いつの間にか、病院のベッドの上、話すことのできない雫羽がそこにいる。会話を交わすことなく、亡くなってしまった。お葬式にも参列して、最近、また幽霊のように現れて、澄矢を一緒に天国に連れて行こうとした。でもそれは、澄矢にとってうれしいことだった。現実のように接してくれてるようで、そばにいてくれてるようで本心で一緒に逝きたいと思ってしまった。でも、それ叶わない。まだこの世界で生きろと神様が存在するならば、言われてる気がした。雫羽が時々出てくるのは、自分の活力をあげろとそういう力が雫羽という姿で出て来たのだとそう思った。
もう、雫羽のことを考えるのはやめよう。もう、考えなくても明日は明るい。そう信じれる自分になったのだと言い聞かせた。
「澄矢、これ、ここに置いていい?」
茉大がコンビニで買ったものを袋ごと台所のまな板置きに置いた。不意に後ろからぎゅっと抱きしめた。心がなぜかぽっかりと開いたように寂しくなった。本当に雫羽はいないんだと思うと、また思い出して、泣きたくなった。なんて、未練がましいんだろう。
「どうしたの?」
後ろ向きで頬を触る茉大に向かい合せでさらにぎゅっと抱きしめた。
「もう離さない」
「く、苦しいんだけど……」
「ご、ごめん。今日、泊まれる?」
「うーん、明日も講義あるし……レポート仕上げてないんだよね」
「そっか。んじゃ、送るから」
夜道は危険だと、しっかりと送らないといけないなと思った澄矢は上着を着た。
「いやいや、まだまだ来たばかりじゃん。これ、飲んでからでもいい?」
コンビニの袋に入ってるお酒とおつまみを並べる茉大ににこっと微笑んだ。
「それ、飲んだら、最後寝かしちゃうよ?」
「え? 寝かせないよじゃないの?」
「……寝かせなくていいの? 本当?」
「嘘、やっぱり帰るのやめる」
「どういうこと?」
茉大は、澄矢のシャツの裾をつかんで言う。
「たまにはずる休みしちゃってもいいじゃん」
「あ、え? 嘘、茉大からそういう言葉出るとは思わなかった」
「風邪引いたら誰だって休むっしょ。私、明日風邪引く予定だから」
「マジか」
澄矢は茉大の両手をぎゅっとつかんで、またハグをした。
真面目に行くのもいいだろうけど、少し疲れたら休むのもありなんだなと茉大から教わった気がする。何のためにしてるのか。行きたいときに行くという気持ちにすっきりした時でもいいなと感じた。現実の世界でアドバイスをくれる茉大がいるのなら、もっと早く出会いたかったそんな気がしてならなかった。